御劔 光の風2
やがて後ろから、ゆっくりと歩いてきたジンロが呟いた。
その石板の主、それは。
「最高神官ウレイ…。」
静かな時が流れ、暫くは誰も動けなかった。
それぞれに思うところがあり、その思いに囲まれてしまったのだ。
風が吹き抜ける。
カルサの手は石板に置かれたまま、離れることはなかった。
「ごめん…。」
消えそうな声を出したのはカルサ。
「ごめん…ウレイ。」
石板の上に置かれた手が拳を握り、その上にカルサは額を打ち付ける。
突然の行動に止めようと千羅は反射的に身体が動いたが、一歩踏み出しそうになっただけに止まった。
石板の上に滴が落ちているのが見える。
「ごめんな…っ。」
囁くような叫び声はどんな大きな声よりも耳に響き胸を衝いた。
今のカルサに触れると簡単に崩れてしまいそうで怖い。
ラファルでさえも身体を擦り寄せようとはせずに見守っていた。
かける言葉も見付からないまま、誰もがカルサの傍にいるだけで何も出来ずに耐えている。
この石板への思いを、カルサの謝罪の理由は分からなくとも、その胸にあるのは苦痛だけだと知っていたから。
その石板の主、それは。
「最高神官ウレイ…。」
静かな時が流れ、暫くは誰も動けなかった。
それぞれに思うところがあり、その思いに囲まれてしまったのだ。
風が吹き抜ける。
カルサの手は石板に置かれたまま、離れることはなかった。
「ごめん…。」
消えそうな声を出したのはカルサ。
「ごめん…ウレイ。」
石板の上に置かれた手が拳を握り、その上にカルサは額を打ち付ける。
突然の行動に止めようと千羅は反射的に身体が動いたが、一歩踏み出しそうになっただけに止まった。
石板の上に滴が落ちているのが見える。
「ごめんな…っ。」
囁くような叫び声はどんな大きな声よりも耳に響き胸を衝いた。
今のカルサに触れると簡単に崩れてしまいそうで怖い。
ラファルでさえも身体を擦り寄せようとはせずに見守っていた。
かける言葉も見付からないまま、誰もがカルサの傍にいるだけで何も出来ずに耐えている。
この石板への思いを、カルサの謝罪の理由は分からなくとも、その胸にあるのは苦痛だけだと知っていたから。