御劔 光の風2
先へ導く標は決して変わらない、歯車一つ外すことも許されないのだ。

「皆して俺を守ろうとするけどな。この世界のカラクリである基盤をあいつが手にしている以上、それが狂うことはない。」

目を閉じなくても浮かぶカルサに差し伸べられた手たち。

昼間の彼女の姿がふわりと横切った。

「仲間を守りたいのは当たり前だろう。大事な人を守りたいのも当前だ。」

カルサは黙ったままジンロを見る、ジンロの表情はとても優しいものだった。

担いでいた剣を鞘に収め、一歩踏み出す。

距離が縮まる間、二人の会話は止まっていた。

カルサの目の前で足を止めるジンロ、頭一つ以上大きな彼はカルサの頭の上にポンと手を乗せた。

「大人が子供を守りたいと思うのも当たり前の事だ。」

カルサの表情が変わった。

目からウロコ、そんな気分だろうか。

何を言われたか分からないというような表情だった。

「お前は皆の子供であり、弟であり、仲間だった。忘れるな?俺はお前一人にやらせるつもりはない。」

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