御劔 光の風2
ぐりぐりと撫でるとカルサの頭の上に置いたままの手を下ろした。

抵抗もしなかったカルサは相変わらず驚いた様な、少し困った顔にも見える。

今まで一人で、自分の力でやろうと生きてきた。

今にきて大きな救いの手が出されるなんてカルサには考えもしないことだ。

まだ未成熟の戦士じゃない、大人からの差し出された手。

「甘えてもいいんだ。それが八つ当りでも、反発でも、拒絶でも、どんな形でも俺の所に持ってくればいい。」

カルサはジンロの目が見れなくなって逸らした。

動揺しているのだろう、瞬きが多くなり拳は固く握られていた。

こんなに真正面から子ども扱いされるのは遠い昔の記憶しかない。

ナルでさえもちゃんとどこかでカルサを国王として扱っているのだ。

「急に言われても今更だな。ただ忘れないでいてくれればいい。」

風が吹き抜ける。

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