御劔 光の風2
それを確認したリュナは自分の理解が間違っていなかったことに安堵の息を吐き、ゆっくりと口を紡いだ。

「何故…そんな事に?」

リュナの言葉にカルサの瞳が曇った。

淋しそうな、冷めた表情はリュナを後悔させるには十分だった。

カルサは首を横に振り、力なさそうに、でもしっかりと言葉を放つ。

「くだらない…争いの成れの果てだ。」

吐き捨てた言葉はカルサを幼子のように思わせた。

リュナはそれ以上何も聞けなくなり、前のめりになって浮き上がっていた腰を下ろす。

カルサは太古の国に生まれ、何らかの事件があり、それを終わらせる為に今を生きている。

カルサを縛り付けているものは因縁。

魂を別の人間と融合させて生きている、それをリュナがどう思うかが彼には不安だった。

少しでも知れば、彼女の性格からカルサに協力をしようとするだろう。

勿論、風の力は必要だ。

知識を与えることで逃げ場をなくし、さらには力を尽くしてやりたいと思わせる自分に嫌気がさす。

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