御劔 光の風2
「どこか…身体の具合でも?」

信じ難い気持ちを抑えながら笑顔を作ろうとしてみても無駄だった。

カルサは首を小さく横に振り、それを否定する。

「俺はこの使命が終わったら、この世にはいない。これは決まったことだ。」

リュナの腕が力なく床に落ちた。

放心状態に近い目でカルサを見つめ続ける。

「なぜ…?」

「それが俺の使命だから。」

悲しそうに微笑むカルサには見覚えがある。

孤独を感じさせる表情、泣いているようにも見えた。

何も言えなくする、いつものあの表情だ。

リュナの瞳から涙が溢れだす。

まるで泣けないカルサの代わりに泣いてあげてるように、一度出た涙は止まることなく次から次へと流れてきた。

「誰があなたに…そんな使命を与えたの?」

小さな声で悲痛の叫びを放った。

小さくても大きな叫びは波紋を生み、部屋に、何よりカルサの心に強く響く。

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