御劔 光の風2
両手の中にあるのは複数の風玉、それはいつかカルサに言われた斑になっている不合格の風玉たちだった。

これでは使い手に負担を与える、でもそれが自分ならば問題はないだろう。

それは決して楽観的な考えではなくて、自分自身で責任を取るという決意からだった。

今の自分の力だけでは足りない、過去の自分に力を借りて増幅させることがリュナの狙いでもある。

「風よ。」

目を閉じて全身で風を感じて力を解放させた。

「風よ。」

やがてリュナから解き放たれた力はオーラとなり彼女の身体からじわじわと滲み始める。

ゆらめくそれらは徐々に大きくなり、彼女の両手にある風玉も共鳴して光を放ち始めた。

そして、一瞬にして旋風となり空へと駈け昇る。

駈け昇りゆく力と比例して重力がリュナの身体にのしかかり、彼女は胸から押し潰されるように地面との距離を縮め始めた。

重力に耐え俯く表情は決して穏やかなものではない。

歯を食い縛り汗が滲む顔には強い意志さえも感じさせるほど目に宿る力が強かった。

「あああああっ!!」

叫び声と共に最大限に解き放たれた力はリュナから剥がれるようにして空高く雲の中へと吸い込まれていく。

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