御劔　光の風２
城内は慌ただしさが増し、人が増えていくことに比例して混乱も増えていった。

どうしようもない不安が小さな争いを生むこともある。

避難してきた民の集う場所。

民の部屋と名付けられたその部屋は、人が一番集まり感情の動きが一番激しい場所でもあった。

カルサとナータックは会議室に戻る途中で取り乱し慌ただしく走る女官の姿を目にする。

「ナータック。」

カルサはナータックの名を呼び、彼女に何があったのかを聞くように促した。

「はい。どうしましたか？」

カルサの声に頷くと、ナータックは半泣き状態の女官に話しかける。

彼女は目を潤ませてすがるような表情でナータックに訴えかけてきた。

「あ、あの、どうしたらいいか分からないんです。」

潤ませていた目はナータックに声を発した瞬間から大粒の涙をこぼし始める。

二人は目を細めて女官の話に集中した。



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