御劔　光の風２
カルサが民の部屋に着く頃にはすでに不安から生まれた心の乱れの争いが大きくなっていた。

始まりは中年の男性二人の口論かららしい。

もめるというよりか、一人が興奮してつっかかっことによるもののようだ。

肩を押され、それに怒った男性を止めに入ったところから始まり、争いの輪は一気に広まった。

部屋の外に居ても騒動の声は聞こえてくる。

なんというエネルギーだろうか、部屋の扉を開けるとそれはさらに強く感じられた。

「陛下、ハワード大臣が。」

「ああ。」

ちょうどハワードも部屋に到着したところらしい。

この民の部屋を担当しているのは老大臣であるハワード、彼に一任していたがハワードが別件に追われていて捕まらないということでカルサもこの部屋にやって来たのだ。

ここでカルサが口を出してはハワードの面目が保てない、カルサとナータックは傍観することにして静かに部屋の中に足を踏み入れた。

カルサの姿を確認した女官が慌てて駆け寄る。

「陛下！」

そう口にする彼女に自らの口元に人差し指を立てることでナータックは秘密を促した。

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