御劔 光の風2
自国の要人など大多数の者が間近で見るのは初めてである。

シワを重ねたその顔に歴史を感じ、またその強い眼差しと正しい姿勢に威圧を感じて仕方ない。

国を動かしている人物、ここは城なのだからそんな人物がいてもおかしくはないのだが目の前に現れたことに驚いていた。

貫録のある大きな態度は見方を変えれば上から見下されているようにも思える。

男はそう感じてしまったのだ。

「何もかも不満だ!何故こんな狭い所に何百人と押し込まれなきゃいけない!?窮屈でたまらん!」

「この城に避難してくる民がいるかぎり、もちろん空間は狭くなる。しかしそれは皆の命を守る為だ、理解してくれ。」

「この仕打ちで守るだなんだ言われても納得できるか!場所は狭い、着替えも食物もない。まるで牢獄のようじゃないか!」

男から吐き捨てられた言葉は力を持ち、少なからず不満を持っていた人々の心に響き始めた。

この事態を心配に思う眼差しが泳いで不満という形のない煙でその目が曇り始める。

男という一人の代表者が皆に代わり疑問や不満をぶつける、口に出せずに押し込めていた感情が芽吹きやがて民の思いが一つになる言葉がでてきてしまった。

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