御劔 光の風2
ハワードの言葉は静かながらも強い力を持ち、多くの人の気持ちを鎮めた。

ただ一人、この言葉を放った男は屈せず尚も自分の意地を通す気でいる。

「城勤めってのはそれが仕事じゃないのかよ!?」

「仕事というだけで命はかけられるものではない。彼らの誠意だ。皆を助けまだ外で救助活動をしている兵達は民を思う心で動いていることを忘れてはいけない!女官たちもまた皆に蔑まれる為に仕えている訳ではない。」

この言葉に近くにいた女官は目に涙を浮かべた。

不満のはけ口として理不尽になじられていた苦しみがハワードに拭われた気がする。

そんな彼女の姿を見て人々は言葉を詰まらせ目を逸らした。

それは男も同じようだ。

「国王であるカルサ・トルナス陛下についてだが。」

今までより少し声を張り上げて出された言葉に再び人々の視線がハワードに集まってくる。

ハワードはそれを待って少し間を取ってから再び口を開いた。

「幼くして即位され今でもまだ若さが目立つやもしれない。しかし皆の心配に及ばずご立派に職務を全うされている。やれることは全てやる、ご自身の労力を惜しまない責任感の強いお方だ。」

< 258 / 452 >

この作品をシェア

pagetop