御劔 光の風2
「ここも、ここも。」

次々と増えていく印にその場の空気が張りつめていった。

「…こんなにか?」

サルスの言葉がその場にいた全員の気持ちを代弁していた。

貴未の手元に視線が集まっているのを感じる、髪の束から落ちた滴が地図の文字をにじませた。

「おっと…。」

思わず身体を反って後退りするが、柔らかい何かに当たって貴未は動きを止めた。

それはサルスだったらしい。

いつの間に背後に回っていたのだろうか、彼は大きなタオルを手にしていた。

「あ、ごめ、ん?」

貴未が話終わる前に彼の視界をタオルが遮る。

「あまり意味はないかもしれないけど。」

「ありがと、嬉しいよ。」

貴未の歯を見せた笑顔に幾分か気持ちが穏やかになる。

ざっと髪に含まれていた水気を拭き取り、タオルを頭から被ったままもう一度地図を見つめた。

そしてまた印を増やしていく。

まだあるのか、口には出せなかったけど誰もが思ったことだった。

そして。

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