御劔 光の風2
分かり切っていたけど、どうしようもない事態に焦る気持ちが高まってくる。

自分には指命があるように他の者にも任務があるのは百も承知だ。

ましてや目の前には大臣がズラリと並んでいる。

自分たちだけがこの国を守っているのではないのだ、一瞬でもなってしまった傲慢な考えに情けなくもなる。

皆が皆、この状況をなんとかせねばと力を尽くしているのだ。

「リュナ様!」

遠くで大きな物音と叫び声が聞こえた。

反射的に貴未は動きだし、また幾人の兵士も同じ行動をしていた。

カルサは大きく深呼吸をして、身体を楽にさせようとしていた。

「分かっている。」

そうどこかにいる誰かに小さく呟いて目を閉じる。

一回、二回、最後の深呼吸で顔を上げ背筋を伸ばした。

「陛下、それ以上力を使われても…。」

「ああ、無駄だな。まるで無意味だ。」

サルスの言葉に同意し、嵐を止めるために使っていた力を止めた。

身体にきていた負担が一気になくなり軽くなる。

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