御劔 光の風2
「ナータックさん?何が違うんですか?」

「陛下…違う。」

同じ事を繰り返し呟くナータックに胸騒ぎを覚える。

「生きてください、ナータックさん!」

助かる可能性がある事を信じて貴未はナータックを救護室に運ぶことにした。

あれだけの強さをもつナータックがこんな姿になっている、正直もう恐怖で足がすくみそうだった。

嫌な予感しかしない。

この嵐も襲撃も、まだ何かのはじまりな気がして仕方がなかった。

さっきすれ違った人物はもしかして。

頭の中に不安ばかり過るが、気持ちを切り替えて貴未はナータックを抱えて飛んだ。


「どこにいる?王よ…。」


迫り来る恐怖にカルサたちは息を潜めて待っていた。

どこからかそんな声が聞こえてくる気がする。

まだあの爆発音の正体がはっきりしない、貴未からの連絡もない。

しかし何となく“それ”は近付いて来ている気がした。

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