御劔 光の風2
こう目の当たりにするとカルサの命を守りぬく術が見つからなかった。

充満する土煙が晴れはじめ、侵入者らしき人物の影が浮かぶ。

「見つけたぞ…光の力を持つ王よ…。」

低く響いた声は不気味ささえ持ち合わせていた。

カルサはゆっくりと立ち上がり一歩前に出てリュナを後ろにやる。

リュナが怯えている、両腕で自分の身体を抱きしめ全てのものから身を守るように縮まり震えていた。

その怯え方は尋常じゃない。

しかし何故姿を見ずに声だけでここまでリュナが反応するのか、カルサにはその理由が分かっていた。

「光の力を持つ王よ、その栄光は未だ健在という訳か。」

やがて彼の輪郭がはっきりして顔を確認することができた。

兵士の言う通り、赤い目をした男。

カルサの金色の目とは対称的な魅力を持つ色だった。

「何者だ!ここでの無礼は…。」

「サルス下がれ!相手が悪い!」

サルスの言葉に真っ先に反応したカルサは即座に制した。

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