御劔 光の風2
その時には既にカルサを護る為の結界が施されていてサルスも触れることは叶わなかった。

そして瑛琳と千羅は彼の封印を解く鍵を探しに行くとこの場を離れたのだ。

その時の千羅は恐ろしいくらい無表情で、ただカルサだけを見ていた。

固く握り締められた拳がサルスの中で強く印象に残っている。

彼がどれだけカルサを想っていたか、そこに立っていただけで十分に伝わってきた。

サルスの知らない顔のカルサがいる、小さな頃からずっと一緒だったが気付いていたことだった。

しかしいざ目の当たりにすると、どうしようもない憤りから切なくなったことなど言えない。

疎外感とでも言うのだろうか、千羅と瑛琳の二人が去って落ち着いてた時に感じたのは寂しさだった。

「俺はここを護る。」

それでも彼にとってカルサは大切な存在に変わりはない。

隠し事なんて言い方は好きではないが知らないことがあっても仕方なかった。

彼は従弟でもあり、国王でもあり、なにより御劔なのだ。

そこは人が踏み込めない神の世界。

神の遣いである御劔、その力の強さや次元の違いを見せ付けられた今回の襲撃はまだサルスの中にも深い傷痕を残している。

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