御劔 光の風2
やるせないのだ。

次にするべきことなんて当たり前のように分かっている。

でも行動に移っても感情が溢れ出てしまう。

悔しい、あの時もっと自分に力があれば。

悔しい、どんな事を言われてもカルサの傍にいれば。

もっと彼の警戒音の意味を探っていれば。

もっと。

言い出したらキリがない。

出てくる言葉は悔しい、悔しい、悔しい、悔しい。

ぐるぐる回る感情を止めることもできず、どんどん身体を満たしていく。

吐き出す術は涙しかなかった。

「守れた筈なんだ!俺さえ気を付けていれば守れた筈なんだ!!!」

握り締めた拳はやがて地面に感情をぶつけ始めた。

何度も何度も気が狂うようにぶつける、血が出ようが関係なかった。

「千羅。」

見ていられなくなった瑛琳が抱きしめて止めようとする。

しかし瑛琳の体温を感じても拳はとまらず、やがて少しずつゆるやかになり脱力する形で終わりをとげた。

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