御劔 光の風2
Ⅲ-Ⅲ 解き放たれた女神
「ここか…夢に出てた場所。」
誰もいない決して小さくはない洞窟に一人の青年の声が響く。
肩に耳も尾も長い小動物が乗せている青年は、まだ幼さが残る声でだいたいの年令を推定させた。
靴音が響く。
雫が水溜まりに落ちる音も響く。
彼は肩に掛けていたカバンを下ろし湖の前で屈んだ。
地に手をついて覗き込むと、どこまでも透明な水が彼を迎え入れる。
その透明度の高さに身震いがした。
吸い込まれそうで怖い、青年は勢いよく身体を起こすと深呼吸をして落ち着こうと試みる。
「はあ…怖い。」
小さく漏らした本音に肩に乗ったままの小動物は笑った。
ここは聖域と呼ばれる場所。
この薄暗い洞窟で唯一光が差し込むのがこの湖、その景色は聖域と呼ぶに相応しいほど神秘的だ。
「本当にここなのかな?」
なんとなくの確信はあったが自信はない。
辺りを見回しても青年の声に答えてくれそうな人間はいなかった。
誰もいない決して小さくはない洞窟に一人の青年の声が響く。
肩に耳も尾も長い小動物が乗せている青年は、まだ幼さが残る声でだいたいの年令を推定させた。
靴音が響く。
雫が水溜まりに落ちる音も響く。
彼は肩に掛けていたカバンを下ろし湖の前で屈んだ。
地に手をついて覗き込むと、どこまでも透明な水が彼を迎え入れる。
その透明度の高さに身震いがした。
吸い込まれそうで怖い、青年は勢いよく身体を起こすと深呼吸をして落ち着こうと試みる。
「はあ…怖い。」
小さく漏らした本音に肩に乗ったままの小動物は笑った。
ここは聖域と呼ばれる場所。
この薄暗い洞窟で唯一光が差し込むのがこの湖、その景色は聖域と呼ぶに相応しいほど神秘的だ。
「本当にここなのかな?」
なんとなくの確信はあったが自信はない。
辺りを見回しても青年の声に答えてくれそうな人間はいなかった。