御劔　光の風２
リュナに扮していたレプリカがリュナに近付き、さっき紅がそうしたようにそっと頬に触れる。

愛しい目でリュナを見つめ微笑んだ。

「…お待ちしておりました…リュナ様。」

その言葉に誰も口を挟むことができなかった。

今まで偽り続けた彼女が初めて口にした真実のように聞こえたからだろう。

レプリカはリュナに一礼すると自身を煙でまとい、本来の姿を現した。

リュナとは正反対の短い髪、青い瞳、全く印象も違う。

「えっ？」

「レプリカ！？」

姿を変えた彼女を見た驚きが声の大きさに比例する。

レプリカの姿を見たサルスはナルに視線を向けた。

「ナル、俺にも頼む。もう代わりも疲れた。」

「…そうね。」

ナルはサルスの右耳の上あたりに指先をあて、小さな声で何かを呟いた。

その瞬間サルスの身体は煙につつまれ、いつかの見慣れた姿を取り戻していく。

不思議と誰もが安堵を含んだ優しい表情を見せて彼を迎えいれた。

< 415 / 452 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop