御劔 光の風2
「何をやっているんだ、俺は。」

旅に出るということ、実際はそんなに楽しいものではない。

御劔の総本山というものがどんな物か、おそらくリュナは知らないだろう。

どういう意図でそこに行くのかも彼女は知らない。

「デート気分で行った方が楽しいのでは?」

「千羅…覗いてたな?」

姿は見せず千羅はからかい目的でカルサに話かけた。

思わずカルサも牙を向く。

「聞こえてきただけですよ。いいじゃないですか、総本山デート。」

「阿呆。そんな気分で行く所でもないだろう?」

めずらしく顔を赤くしたままカルサが返してきた。

今まではほとんど冷静に、尚且つ瞬殺くらいの勢いで返してきたのが、どうやらそれはできなくなっているらしい。

すっかりリュナに乱されたようだ。

滅多に見れない表情に千羅はおもしろくなった。

声を殺して笑っているとふいにカルサの呟きが聞こえてくる。

「そんな気分なんか味わえる場所じゃない。味わう場所でもない。」


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