天神学園高等部の奇怪な面々32
「えっ、体育祭っ?」

ピョコッと。

幼い少女が、引き戸の外れた教室の入り口から顔を覗かせた。

おかっぱより少し伸びた黒髪を染井吉野の花のピンで留めている。

「ありゃ?」

すぐに駆け寄り、しゃがんで視線を合わせる遊里。

「初等部の子かなぁ?ここは高等部だから、小学生は入ってきちゃ駄目だよぉ?」

黒髪を撫でてやる遊里。

意外と子供の面倒見がいい。

しかし。

「小学生じゃないもんっ!」

軽く地団太を踏む少女。

「私、佐倉 吉野(さくら よしの)っていうんだもんっ!高校1年生だもんっ!」

< 15 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop