私と彼が嘘をつく理由
卒業生は教室に戻り最後のHR。
その間に在校生は下校だが、
大半の生徒が第2ボタンやらなにやらを
狙って、卒業生を出待ちしている。
そのそわそわしている様子を
みゆうと教室の窓から眺めて、
きっと忍は身ぐるみ剥がされて
帰ってくるんだろうな、なんて
ぼんやり思いながら欠伸をひとつした。
「いいのー?いかなくて。」
みゆうが携帯をカチカチ
いじりながら聞いてきた。
「いいの」
妹が行っても怪しまれるだけよ、と笑うと
それもそうか、と言って私の頭を撫でた。