私と彼が嘘をつく理由

結構勇気いるんだろうな…
なんて思いながら
小池を見つめていると、

「三年間ずっと思い続けてきたのに…って思ったら、怖くて。あなたは妹で何にも心配なんかする必要ないのに…」

と続けた。
何にも心配する必要ないのに、か。

胸にグサッと鋭い物が刺さる。

私はもっと忍を思ってきたわよ!
そう口走りそうになった言葉を
寸でのところで飲み込む。

「でも、私はきっぱり振られちゃった。ずっと好きな奴がいるからって。」

それはきっと…
そこまで言いかけて
小池は口を閉じた。

< 104 / 134 >

この作品をシェア

pagetop