私と彼が嘘をつく理由

「俺、ドキドキしてる」

「えっ…?」

私の心を読んだかの様に
言った忍の顔は
ほんのり赤く染まり
照れたように微笑んでいた。

「ごめんね。傷つけて。」

忍は私を自分の胸に
抱き寄せて、
優しく頭を撫でる。

「ううん」

私は小さく頭を振った。

忍の匂いに包まれて
過去のことなんて
どうでもよくなっちゃったよ。


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