私と彼が嘘をつく理由

しばらく黙っていた忍が
静かに口を開いた。

「俺、一人暮らしするんだ」

いつか言われると
思っていた言葉。

ここから二県離れた
大学に通うのは難しいから
そうなるとは思ってた。

だけど、いざ本人の口から
聞くと覚悟はしてても辛い。

「うん・・・でも、戻ってくるでしょう?」

頭を忍の肩口にうめて
そう聞くと少し間があいてから
うん、という返事が返って来た。

それにちょっと不安を抱く。

< 108 / 134 >

この作品をシェア

pagetop