私と彼が嘘をつく理由
しばらく黙っていた忍が
静かに口を開いた。
「俺、一人暮らしするんだ」
いつか言われると
思っていた言葉。
ここから二県離れた
大学に通うのは難しいから
そうなるとは思ってた。
だけど、いざ本人の口から
聞くと覚悟はしてても辛い。
「うん・・・でも、戻ってくるでしょう?」
頭を忍の肩口にうめて
そう聞くと少し間があいてから
うん、という返事が返って来た。
それにちょっと不安を抱く。