私と彼が嘘をつく理由

夢の中で忍が出てきた。

部屋の中なのに
コートを着てマフラーを巻いていた。

そして、私に近づくと
「ごめんね…好きだ。」
とだけ告げて部屋を出て行った。

あ…待って…。

腕を伸ばすけど
私の腕は風を切るだけで
忍に届きやしない。

目からこぼれた冷たい涙で
ハッとして目を覚ます。

部屋には明るい朝日が射していた。

急いでカーディガンを羽織り、
リビングに駆け下りる。


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