私と彼が嘘をつく理由

勢いよく扉をあける。

リビングに忍の姿はない。
驚いた様子のお母さんをよそに
また階段を駆け上がり
忍の部屋をあける。

すると、部屋はもぬけの殻。

部屋にはダンボール一つなかった。

ただ、部屋の真ん中に
ぽつんと封筒がおいてあった。

表には“琴葉へ”の文字。

見慣れたきれいな忍の字だった。

それをつかんで
再びリビングへ向かう。


< 112 / 134 >

この作品をシェア

pagetop