私と彼が嘘をつく理由

何事かと二人で廊下に出ると
この高校の王子が
キラキラな笑顔を振りまきながら
近づいてきた。

それは、紛れも無い
私の愛しいお兄ちゃん。


うん、やっぱりカッコイイ。

「琴葉、入学式終わったら一緒に帰ろう。迎えに来るから。」

「うん、分かった。」

それだけ言いに来たらしい
忍の背中を見ながら
ドキドキする胸を押さえた。

それからは、
珍しいものを見るような目で
見られ居心地が悪かった。

中学校で慣れたと思っていたが
それは甘かったようだ。


< 12 / 134 >

この作品をシェア

pagetop