私と彼が嘘をつく理由

「でも、忍の住んでる場所は琴ちゃんがK大に受かったら教えてあげる」

「そんな…」

「それくらいのハンデは必要よ。」

やっぱりどこか楽しそうな両親。
普通の家庭なら
こんなこと許してくれないだろうな
と思ったら、涙が出てきた。

いい両親に恵まれて、
素敵な兄に出会えて、
幸せだ、そう心の底から思った。

「ありがと!私がんばる!」

私は笑顔でそう言うと
部屋に戻り机に向かった。

頭は悪い方じゃない。
目指せK大。

頑張れ私。


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