私と彼が嘘をつく理由
「忍は皆の王子様なの」
まあ、王子様なのは認めるけど
皆のって・・・。
「だから、兄妹だろうと容赦しない。」
きっと、忍が誰にも
なびかないから“皆の”と
することで抜け駆けするのを
禁じているんだろう・・・。
でも、妹もダメって・・・。
「何よ、その顔。可愛くないくせにムカつく!」
パンッ
乾いた音が教室に響き
頬がジンジンと痛む。
「忠告はしたから。」
ね。っと私に笑顔を向けて
皆去っていった。