私と彼が嘘をつく理由
ちゃんと、家まで
送り届け家に向かう。
「ね、琴葉」
静かだった忍が口を開いた。
「なに?」
「手、どうしたの?」
忍は私の手を持ち上げて
まじまじと見る。
「っと・・・切っちゃって・・・」
「包帯まで巻くような切り傷なの?」
忍の表情が曇る。
「いや・・・念のためって先生が。」
そう言うと
ふーん、と言って手を離した。
いじめられてるなんてことは
知られてはいけない。
きっと、自分を責めるから・・・
そんなのは絶対嫌だ・・・