私と彼が嘘をつく理由

どうしたらいいか分からなくて
黙ってうつむく。

唖然とするだけで
不思議と涙が出ない。

泣いたら忍も考え直してくれるかも
なんて考えは儚く消えた。


忍はそんな私の顔を
ちょっとあげて
まぶたに軽いキスをした。

そして、

「ごめんね。」

最後にそう言って

静かに教室から出て行った。


< 58 / 134 >

この作品をシェア

pagetop