私と彼が嘘をつく理由

「…なんで来たの?」

先に口を開いたのは私。
だけど、思った以上に
冷たい口調になってしまった。

それに加えてプイッと
顔を背けてしまったため
完全に拗ねた子だ。

「俺ね、こうすることが琴葉を傷付けない方法だと思った。」

忍の足音が段々近づいてくる。
そして、真横でピタリと止まった。

「でも、それは間違ってた。」

肩を抱き寄せられ
久しぶりに忍の温もりを感じた。

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