私と彼が嘘をつく理由
「小池さんには傷付けられないかもしれないけど、そのかわりに俺が…大切にしたい俺が琴葉を傷付けてた…。」
忍の胸に頭を預けて
黙って忍の話に耳を傾ける。
「でも、気づいてなかったわけじゃないんだ。琴葉の悲しそうな辛そうな顔に。」
肩を掴んでる手に力が入り地味に痛い。
でも、離れたくないから言わない。
まだ、忍の温かさに触れていたい。
もう少し、鼓動を聞いていたい。
「…なにもできない兄でごめん」
「じゃあ、一緒に登下校しようよ。また普通に話してよ。なにも出来ないんじゃない、してないのよ!」
ぱしぱしと忍の胸を叩く。
涙が頬を伝い地面に染みを作った。