叶多とあたし
「お兄ちゃん、すごーい!!何それ、何それ、かっこいい!!!日芽にもやらせてぇ」
「・・逆上がりだけど・・・・。日芽には危ないよ」
でも、お兄ちゃんは普通にできてた。お兄ちゃんだけずるい。
私だってできる。
「や~る~のぉ~!!日芽だってできるもん!」
「ダメだって。危ないし、怪我するよ」
「やだー!!!!や~る~!!」
尚も聞かない私に、お兄ちゃんは困った顔になった。
私は粘り強く叫んだ。こうしていれば、お兄ちゃんはいつか折れてくれると知っているのだ。
「・・・しょうがないなぁ・・。1回だけだよ?俺が下で支えてるから」
「やったぁー!」
折れた!!
「-いくぞぉ、ほらっ」
お兄ちゃんに押されて、あっという間に地面がぐるりと回った。
一瞬、気持ちが悪くなった。
目が回って、棒につかまっていられなくなったから、支えてくれているお兄ちゃんに体を預けた。
お兄ちゃんは、私を地面におろしてから聞いた。
「どう?逆上がりは楽しい?」
私は、ただ、首を横に振った。