叶多とあたし
あいつとあたしと幼なじみ
「・・・ん~・・・!」
目が覚めて、体を起こしてから伸びをした。
あー、よく寝た!
心も体も軽くて、寝起きの気だるさはない。時計の針は5時を指していた。
今は春だから辺りはもう暗い。随分寝たようだ。
夢を見ていたようだが、思い出せない・・・もどかしい気持ちになった。
たぶん・・・楽しかった・・・・・・いや、懐かしかった・・?
思い出そうと整理しようとしても、懸命に思い出そうとすればするほど夢の原型は消えていくのだ。
それがさらに日芽をイラつかせた。
「あーもー、じれったいっ!!!!!」
これ以上考えてもイラつく一方なので、日芽は思考を別の方向に向かせてみた。
そういえば・・・彼哉は・・?
玄関を見たら、靴がない。
どっか行ったのかな。
そう思ってリビングに戻ると、書置きがあった。
『夕飯の買い物に行ってくる』
あぁ、夕飯ね!冷蔵庫に二人分の食材ならあったけど・・・足りないものがあったのかな?
あ――――――。
夕飯のこと考えたらお腹すいてきたぁ~!!!
彼哉ぁ――、早く帰ってきて夕飯つくれ―――!!
そんな日芽の頭には、自分で作るという選択肢はないのであった。