叶多とあたし
「ねえ、彼哉。あんた、夕飯の買い物に行ってきたのよねえ?」
「ああ」
「余計なおまけがくっついてきすぎなんじゃないの・・・?」
そう言った日芽の視線の先には、午前中の卒業式で別れを告げたはずの友人3人がババ抜きをしていた。
いつもなら喜ぶところなのだが、今の日芽はお腹が減っていて機嫌が悪い。
鍵を開ける音がして彼哉がやっと帰って来たと思ったら、レジ袋を持った彼哉の後ろに余計なものが3つ、ついていたのだ。
正直、彼女たちの
「お邪魔しまーす!」
という声と笑顔にイラッとした。
「俺がモテるんだからしょうがないじゃん」
買ってきた食材を分けながら彼哉は言った。
「・・・・・・・」
またイラッとした。
「まあまあ、にぎやかになっていいじゃん?」
何も言わない日芽を見て、彼哉は苦笑した。
・・・また・・・・イラッとした。
無駄口たたいてる暇あったら早く夕飯作れコノヤロ―――――――――――――!!!!!
またしても日芽の頭には自分で作るという選択肢はないのであった。
「やったー!あたし、あがりっと」
「えぇ!?また負けたぁ。二人とも強いっ」
こうして、ババ抜きは第3ラウンドに突入した。