叶多とあたし
「ここに、さっき知り合いから貰った二枚の遊園地のチケットがあります」
「うん……?」
「それでね、今日、卒業式の帰り道に叶多さんに会ったことを思い出したの。で、私思い付いちゃったのよ!!」
うわ……。
悪い予感しかしねぇ………。
「日芽と叶多さんに使ってもらおうって!…………あのことがあって 以来、二人はまともに話してないんでしょ?なら、これって色々とチャンスじゃない?」
そんなことで二人の仲が直るのなら、そもそもこんなことにはなっていなかっただろう。
「絶対行かないと思う。特に日芽」
「バカね。ただあげるだけじゃないわよ。ちょっとネタを仕込むの」
ネタ………??
「例えば…そう、私たちも行くことにしておくの。強制参加って言ってね。日芽は強制参加に弱いじゃない?よっぽどの予定がないかぎり来るわね」
なるほど。
でも、これだけじゃだめだ。
「結局は当日バレるよ。日芽はそれがわかった時点で間違いなく帰る」
「そこは大丈夫!明日ね、そこの遊園地何かの記念日らしくって全予約制になるの。それで、アトラクション全部無料。でもその代わり、一回入ったら閉園まで外には出られないシステムなのよ」
なんて、無茶苦茶な……。
だが、今の俺たちには
なんて都合の良い……。
「だから、今日の夕食は叶多さんも呼んでね!」
『も』!?
「…で、ついでに私たちもお邪魔しまーす☆」
はい…。
わかりましたよ…。
「じゃあ、まずは夕飯の食材を買いに行かないとな…」
彼哉は呟いた。