叶多とあたし


「――…ね…?ねんね?」



「―――…え……」



「もうみんなバイバイだよ」



「…ん?…んあぁ!!ごめんね、降りようか」




気づけばメリーゴーランドは止まっていて、乗客たちは次々と出口をあとしていた。





「どうした?」



叶多は、私の様子をおかしいと思ったのか怪訝な顔をした。




……言いたくない。




「別に」




答えた私にまた怪訝な顔を向けた。




「ねんね。次はコップに乗りたい!!」





コップ!!???




と思ったが、なのちゃんの視線の先にはコーヒーカップがあった。




あれなら私も大好きだ。




「よーし!!行こう!!」




「行こー!!」




この時、叶多は何かを言いた気だったのだが、私から積極的に聞くようなことはしなかった。




自分から話さない事柄とは、大したものではないのだ。







そういば………。




私はなのちゃんにどうしても言いたいことがあったような気がする。





でも、まぁいっか。





思い出せない事柄とは…(以下略)。




たぶん………。


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