叶多とあたし
「……なに、覚えてねーの?俺のこと」
はぁ?
Who is you?
誰よあんた。
あたしが怪訝な顔をすると、彼は目を見開いた。
「…………まじかよ…」
しばらく、何かを考えるように黙りこんでから呟く。
「…まぁ、俺髪の毛伸びたかんな…。色染めたし」
そして、あたしの近くまで来てから、あたしの手を掴んだ。
「っちょ…っと!」
「これでも思い出せないか?」
彼はそう言って、自分の前髪をあげた。
その瞬間、あたしの脳裏にピシリと浮かんだ一人の人物。
いや、浮かんだのは三人だ。
身体に電気が走ったような痛みに襲われた。