叶多とあたし
今日とあの日。
「日芽ー!バイバーイ」
校舎の玄関をでたところで上から声が降ってきた。
クラスメイトであった。
六年生になって、クラス替えで初めて同じクラスになった彼女とは、まだクラスメイトの域を超えない。
「バイバーイ!」
だが、大きく手を振った。
なんとなくだが、彼女とは仲良くやっていけそうな気がするのだ。
彼女の名前は、中村エリコ。
そんな他愛もない日常の一部である今日は、小学六年生になったばかりの春。
これからあたしはいつものように、当然に、あたしの家に帰るつもりであった。