叶多とあたし
「終わったか?麗しい涙のお別れは」
彼哉は校門の前で待っていてくれたらしい。家が隣だから、いつもなんとなく一緒に帰っている。
相変わらず言葉が大袈裟なんだからぁ・・・。
「みんな、私じゃなくて彼哉に会えなくなるから泣いてたよ。私じゃなくて」
『私じゃなくて』ってところを強調した。
当然、彼哉は調子に乗る。
「まじかぁ〜。俺って自分が知らない内に罪を作っちゃう男なんだよな!まぁ、俺カッコイイからしょうがないけど?」
って言って笑った。
私は何も、言わない。
彼哉はいつもこんな感じだからツッコむ気になれない。ただ疲れるだけだし、あいにく私は年中無休でこの調子の彼哉にいちいちツッコミを入れるほどの体力を持ち合わせていない。
……呆れはするけど。
だいたい、こいつは真のナルシストってわけではないと思う。ふざけているだけなのだ。
「そんなこと思ってないくせに」
そう言ったら、彼哉の瞳孔が少し揺れた。
…………図星?
「ははっ。
…………俺、
お前のそーゆーとこ好きだぜ」
「…………」
呆れた。
たらしが!!!
「おいおい、そんな目で見んなよ。コエーよ。
言っとくけどさ、俺な、たらしとかじゃないから。
そーゆーことには真面目だから」
って言って笑ってる。
………未だによく分かんないんだよなぁ、彼哉って。