叶多とあたし
「…ーねぇっ!ちょっと!!放して……よ!!!」
人通りのない路地。
腹いっぱいに叫んだ日芽の声は、誰かに届くハズもない。
ーーー油断した。
彼らが叶多の友達だって言うから……
叶多のことを解っているから…
平気でホイホイついて行って……
結果がこれだ。
人通りのない路地に連れて行かれたかと思うと、その路地に面した空き地の物置に入れられた。
もちろん、手足は頑丈な紐で縛られて、口はガムテープで塞がれている。
大人たちが言っていた、
『知らない人について行っちゃだめだよ』
というのは正しかったのだと思い知らされる。
自分の甘ちゃんさに毒を吐いた。