叶多とあたし
「……っチッ」
観念したように男は舌打ちを残して扉を開けた。
だが…。
そこに立っていたのはどう見ても警察ではない。
それは、男らもあたしもよく知っている人物。
「叶多…」
うそ……なんで……。
なぜだかわからないが、急に涙が溢れてきた。
わからない。
この感情が何なのか。
ただただ、唇を噛み締めて……唇は震えた。
悔しい…?
違う。
嬉しい…?
何か違う。
わからないけど、涙は止まらなかった。
「何で…お前ここが……」
男の問いかけに叶多は薄く笑う。
「GPS。お前らバカだろ。今どきのケータイは大抵付いてんだからさ、日芽のケータイの電源ぐらい切っとけよ」
「!?」
思わぬ落とし穴に動揺を隠せないようだ。
それから叶多は
「!!」
あたしを見て目を見開いた。