叶多とあたし



桜舞う校舎。


クラス分けの紙を見て目を細めた。



ヤバい。全っ然見えない。


「視力落ちたかな…」


だけど、思い当たる原因がない。


今から、新学期には必ず行われる身体検査に不安を抱いた。



「日芽は五組だったよ。因みに、俺と一緒」


聞き覚えのある声に振り向くと彼哉だった。



「あーりーがーと」


彼哉を遠目に見て騒いでいる女子の集団に目を寄せて応えると



「相変わらずモテて困るんだよなー」


と自慢が返ってくる。



そういうヤツだよ、コイツは。


心の中で苦笑いをした。







五組を見つけて、自分の名前があるはずの席を探す。



この学校の出席番号は男子が先にくるはずだから……遊馬は…真ん中の方かな…。



「あった」



のは良いんだけど……。




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