叶多とあたし
「………で?
なんでここにいるわけ?」
彼哉は自分の部屋の床を指差して言った。
「だ〜か〜らぁ、さっきも言ったじゃん!!しばらくここでお世話になるよって。おばさん達、うちの親と旅行行ってるからいないし…何の問題もないでしょ?」
「いやいやいやいやいや、 大問題だろ!いくら幼馴染みとはいえ、男女がひとつ屋根の下とか………。
……だめだろ〜よ」
「じゃあ?私に?あの冷血兄貴のところに帰れって言うの?親がいないのにあいつと暮らせって言うの?
最低ね!!!」
叶多のことを思い出して怒りが込み上げてきた。我慢出来ずに立ち上がると、日芽は枕を彼哉に投げつけた。
「だからさぁ、俺の理性が保てるかどうか…さぁ…」
「は?何、何か言った?」
日芽は、今度は椅子を投げてきそうな勢いである。
「……別に……………」
「………じゃ、決定ね。
これからお世話になります!私はリビング使わせてもらうから、お構い無く」
いやいや、リビングにいるなら嫌でも構わなきゃいけないだろ…。
と、心の中で思った彼哉であった。
「でも、それより理性が……ヤバイかも…」
日芽が部屋から出て行ったあと、彼哉はそう呟いた。
力が抜けて、顔を枕に埋めた。
寄りにも寄って日芽って…。まじでヤバイ、俺。