叶多とあたし

彼哉side

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大体、あいつは鈍感すぎるんだよ。人の気も知らずにさぁ…。





俺がどれだけ我慢してるか分かってないだろ!
いや、分かってほしくないけど。






日芽にはこんな俺の心なんか知ってほしくねぇ。





いつも余裕なんてなくて、いつもわざとナルシみたいなこと言って、キモチ隠すのに必死なんだ。






ホントは少しでも日芽といられて、スゲー嬉しい。




でも、理性保てるかどうか分かんないんだよ。







保ちたい。






日芽の傷つく顔なんて見たくない。




そっと階段を降りると、リビングに日芽の姿はなかった。


不思議に思ってリビングの奥まで行くと、ソファーの端から日芽の頭が見えた。ソファーに座ったら眠ってしまったようだ。

下半身はソファーに座ったかたちをしていたが、上半身は横たわっていた。






ヤバイ、と思った。





まじでヤバイよ。






寝てるよ、こいつ。

理性を保つって宣言したあとにこれはないだろ。





寝顔だぞ?




襲えってことか!?







いやいやいやいやいや、それはだめだそれは。







がんばるんだ、俺!!







いくら心に言い聞かせても無理なものあるもので、我慢できないことはあるもので、







これだけだからと、彼哉は誰かにいいわけをして



日芽の頬に手をあてた。







そっと髪をかきあげる。
















日芽……………


















好きだ。



























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