あの子の隣に座るコツ!
どうする─。


どうするどうするどうする…!


1.ここにいたら必ず見つかる。


2.脱出するなら1階。


3.1階には降りられない。


4.今なら上階になら逃げられる。


5.上階に行っても出口はない。


6.渡り廊下から西館へ?


7.鍵がない。



8.考えている間に警備員が2階まで来た。


「詰んだァー!」



「落ち着きなさいよ!」


「ぐぉっ!?」


アリサのミドルキックが、下腹部に決まった。



「アリサ…口で言ってくれ」


腹を押さえてうずくまりながら抗議する。


「落ち着くまで蹴り続けるわよ!」


「もう落ち着いたから…」


「冷静にならなきゃ妙案なんて出てこないわ」


「何か浮かんだか?妙案」


「…冷静になったらますます脱出不可能な気がしてきたわ」


「蹴られ損じゃねぇか…」



カツッ。


カツッ。


カツッ。


カツッ。



…普通に足音聞こえてるからな。焦りを通り越して逆に冷静になってきた。



「オイオイ…もう隣の教室くらいまで来てないか?」


「来てるわよ!ホントにどうすんのよ?あたしだってない頭絞って考えてるんだから!何落ち着いちゃってんのよ、アンタ!」



「お前が落ち着けっつったんじゃないか」


「落ち着き過ぎだっつってんのよ!」


「言ってるコトムチャクチャだぞ、オマエ!?」



下らん言い合いしてる場合じゃないぞ、マジで!


見つかったらあのしょーもない放送まで、俺らの仕業にされかねない。


それだけは嫌だ!
何か嫌だ!



「あたしが助かったらアンタが嫌いな理由でもなんでも教えるから!“最バカ”なんだからおとりにでもなんなさいよ!」



「うわっ!今お前全校の“最バカ”90人敵に回したぞ!?」


「うっさい!“最バカ”に人権なんてないのよ!」


「憲法何条に載ってんだソレ!?」



くそっ。もういい。肝心な時に頼れるのは自分だけだ。




…運、かな?とにかくファイト!

…根性だ!アガリ牌は自分でツモってこい!



薄情野郎どもの言葉が脳裏をよぎる。



廊下にはもう出られない。

教室を見回す。



運。

根性。




あァ…。
見つけちまった。
脱出ルート。



…窓?
あーっ。
気付かなきゃよかった…!
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