あの子の隣に座るコツ!
真後ろの窓を開ける。
涼しげな風が前髪を揺らす。
下を見下ろす。


あっ…。
真下は駐輪場の屋根。
アレ、確か布だったよな?


「ちょ、ちょっと。何してんの?」


アリサが困惑気味に尋ねてきた。


「いける、ような、気がする」

「はっ?何が?」



アリサの顔を見る。


「…なに。嫌よ。絶対嫌。無理。寄るな。死ね。腐れ」


察したか。
知るか。


「ちょっ、嫌だって…ぎゃあっ!!」

俺は素早くアリサの懐に飛び込み、ひょいっと米俵のように担ぎ上げた。



火事場の馬鹿力ってヤツか?
軽い。めっちゃ軽い。



「舌噛むぞ!黙ってろ!」
「ちょ、大吾!?待って!待って待って待って!!」


くるりと反転し、開け放った窓に正対する。


「アンタバカ!?死ぬって!2階だからココ!!オイッ!!」


腕の中でバタバタ暴れまくるアリサをなんとかコントロールしながら、膝にググッと力を溜める。



「心配すんな。俺は中学時代、陸上部だった!」


「…競技は?」



「3000メートル!!」


「あんまり関係ねぇーー!!!!」



足に溜めた力を一気に解放する。






走る。






跳ぶ。






──。





遠い所で、
教室の扉がガラッと開いた気がした。
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