あの子の隣に座るコツ!
横目でその姿を見た俺は、
固まった。
まるで、身体中の細胞という細胞が、驚きのあまり活動を停止したような。



とにかく固まった。



絹のように長く美しい黒髪が、彼女が座った拍子にふわりと舞い、甘い香りを届けてくる。



白く透き通った柔らかそうな肌に、長い睫毛に包まれた黒真珠のような瞳が映える。



悩ましげに尖らせたピンク色の唇は、小さな薔薇のつぼみのようで。



“美少女”と言って差し支えないその出で立ちの持ち主は、まごうことなき、東條さゆみさん、ご本人だった。
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