あの子の隣に座るコツ!
コツその13「エピローグ」
「なんか、石川のセクハラ、落ち着いたらしいわよ。別のクラスのコが言ってた」

配牌をにらみながら、アリサが誰にとも言わず、呟いた。



「ヘェ。何でかな」

アリサの対面に座る進も、手牌の順番をころころ変えながら、相槌を打った。



「ユウ先輩が、またなんかやってたりして。はい、リーチっと」

言いながら、直紀が点棒を場にぽいっと放った。



「おっ、鋭いじゃないか、杉山」

にっと口角を上げて、ユウ先輩が直紀に笑いかけた。



「えっ!やっぱりユウ先輩の仕業なんですか?」

「あァ。そしてロン。杉山」

「うぇぇっ!?」



思わず身を乗り出して、公開されたユウ先輩の手牌を見る直紀。



…そんな牌捨てるなよ。



「大吾先輩っ。先輩の番ですよ?」

「あ、あァ、ごめん」

ユウキちゃんに促されて、山から雀牌を引いてくる。



「どうやったんですか?僕も興味あるなぁ」

啓一がまさに興味津々という顔で、ユウ先輩に尋ねた。



2つある雀卓。


向こうはユウ先輩、アリサ、進、直紀。


こっちは俺、ユウキちゃん、啓一。ルールを工夫すれば、3人でも麻雀は出来るのだ。



ちなみに野球部の4人は試合で公欠だそうだ。平日に授業サボって試合だなんて、羨ましい。



「ミッションの時に、ちょっとな」

悪そうな顔を作るユウ先輩。同じ“秀才席”でも東條さんやユウキちゃんと全然違うな。タバコ吸うし。



「ミッションの時って、ユウ先輩は机見つけただけで答案までは盗めなかったって言ってたじゃないですか」

牌をジャラジャラと混ぜながら、進が意見した。確かに、そんなようなコト言ってたな、ユウ先輩。



「俺が担当してた数学に関してはな」

「どういうことですか、それ?」

ユウキちゃんも興味ありげに尋ねる。



「ミッションは成功するに越したことないけど、要は石川のセクハラが収まれば良かったワケだろ?ミッション失敗に備えて、保険をかけたのさ」



保険、ねェ…。



「あっ、大吾、ロン」

「げっ!?」



うわ!地獄待ち?ふざけんな啓一!
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